「死ねない時代」における医療との向き合い方 3つの心構え

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 注意したいのは、治療できることとお金がない中高年がその恩恵を受けられることは別だということだ。いくら老化を治療できるようになったとしてもヒトはいつかは死ぬ。そのとき医療は、患者が「十分生きた。もう結構」と言わない限りはあらゆる医療技術を動員してでも生かすはずだ。

 そもそも厚労省発表の19年度の国民医療費は43.6兆円で国の負担は限界に近い。10月から原則1割だった75歳以上の医療費自己負担を、個人年収200万円以上、夫婦で同320万円以上の世帯は2割になることを発表している。「致死的な病気」は国が面倒を見るが、そうでない病気は全額自己負担になる日が来るかもしれない。

 つまり、そう遠くない将来に「延命する治療法が存在しても、その質を含めて患者自身がどこかで治療を諦めざるを得ない時代、死を選択する時代が来る」ということだ。

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