感染症別 正しいクスリの使い方

【細菌性食中毒】高温でも死滅しないウェルシュ菌が2日目のカレーで増殖

写真はイメージ

 ウェルシュ菌の潜伏時間は約6~18時間で(平均10時間)、主な症状は腹痛と下痢、特に下腹部が張る場合が多いとされています。特別な治療を行わなくても1~2日で軽快するケースがほとんどで、重症化することは多くありません。ただ、下痢をしている最中には経口補水液による脱水予防など対症療法を行うとよいでしょう。子供や高齢者などは成人に比べると重症化するリスクがあるので、点滴による治療を行う場合もあります。

 “2日目のカレー”はたしかにおいしいのですが、鍋のまま室温で放置するのは避けましょう。特に夏場は気温も高いので、細菌が繁殖しやすい環境になっています。前日調理は避け、加熱調理したものはなるべく早く食べること。面倒でも小分けし、冷蔵庫に保管することをおすすめします。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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