その背景にはキリスト教の存在があります。特にカトリック教徒とプロテスタント福音派は、教義に反するとして中絶禁止の立場を取っています。
中絶はおよそ50年前に合法化されましたが、一部の信者が激しい反対運動を始めたのを見て、「これは使える」と考えたのが保守政治家たちでした。宗教を味方につければ非常にありがたい票田を得られるというのは、どの国でも同じです。そこで当時の大統領候補のニクソン氏と共和党が「中絶禁止」を叫び始めました。以来中絶は、保守陣営に欠かせない政治案件となったのです。
そこで使われたスローガンが「家族の大切さ」でした。一見聞こえがいいのですが、彼らのいう家族は伝統的な父、母、子供という核家族で、シングルマザーの家庭や、LGBTQの家族は含まれていない。旧来の差別的な価値観です。
この「家族」の文脈が、社会の激変を恐れる保守的なアメリカ人にアピール。この流れで保守政治家は、LGBTQの権利などにも反対し続けています。最近ではトランプ氏も、この文脈を利用して当選しました。
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