なぜ「おひとりさま死」は在宅を選択肢に入れるべきなのか(1)

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「病院では認められない飲酒や喫煙、食事も自宅なら医師や看護師との相談次第で認めてもらえる。慣れた自宅での生活は、最期の時間まで自分らしく過ごしやすいし、介入する介護職とも『友人』『家族』のような距離感の近い感覚で接することができるのです」

 ところが身の回りの世話をする身寄りがない、近くに親戚縁者もいない、そんなおひとりさまは自宅で最期を迎えられない……そう思い込んでいる人がいるが誤解だ。

「がんの末期、難病などでも自宅で過ごせないこともないのです。実際、私たちは他の医療関係者から『この病状では入院するか施設で過ごした方がいい』と安易に言われた患者さんを引き受けることも多い。むろん、すべての患者が自宅で過ごすのが幸せとは思わないし、病院や施設で最期を迎えるという選択肢を否定するものでもありません。ただ、『最期は自宅で過ごしたい』という本人の思いや、『近くにいられないが、最後は望むように自宅で過ごさせてあげたい』という家族の思いをかなえられる在宅診療所は数は少なくとも存在する。そのことは知っておくべきです」

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