役に立つオモシロ医学論文

空腹は本当に怒りの感情を引き起こすのか? 科学誌に論文掲載

ついイライラしてしまう(C)kazuma seki/iStock

 空腹を感じた時に、イライラしたり、怒りっぽくなるといった経験をお持ちの方も多いでしょう。このような状態を、英語では「Hangry」と呼びます。一見すると、空腹を意味する「hungry」の間違いではないかと思ってしまうのですが、怒りを意味する「angry」と掛け合わせた造語で、2018年に英語辞典の世界的権威である「オックスフォード英語辞典」にも収載されました。

 空腹が人の感情にマイナスの影響を与えることは想像しやすいと思います。しかし、具体的にどのような感情をもたらすのかについて、詳しいことはよく分かっていませんでした。そんな中、空腹と感情の関連性を検討した研究論文が、プロス・ワンという科学誌に2022年7月6日付で掲載されました。

 この研究では、18~60歳の64人(平均29.9歳)が対象となり、21日間にわたり1日5回のアンケート調査が実施されました。空腹感、イライラ感、怒りの感情、喜びの感情の度合いは0~100点(点数が高いほど空腹や感情の度合いが強い)で評価され、空腹と感情の関連性が検討されています。

1 / 2 ページ

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

関連記事