五十肩を徹底解剖する

痛くてもバンザイできるが検査では異常なし…意外な原因

写真はイメージ

 ところで、肩甲骨は上腕骨とつながるだけではありません。むしろ背中に浮き出る肩甲骨の大きな三角形部分は、アバラの上に乗り多数の筋肉を介し背骨・肋骨・上腕骨と連結します。いわば肩甲骨は周りに付着する筋群によって海面に浮かぶブイのように背中の上で浮遊しながら動きをコントロールされているのです。

 さて、右手でバンザイをするとき、肩甲骨は腕を追い掛けるようにアバラの上で反時計回りに動きます。

 しかし肩凝りのように肩甲骨周囲の筋群が緊張し肩甲骨の動きが落ちると、腕の上がりは制限され、噛み合わせとなる関節部分にはきしみが生じてしまいます。

 一見では原因がわからない五十肩の多くは、実は肩甲骨の機能低下からくるものなのです。

 肩の痛みとなると、つい関節の中に問題がないか注目してしまいがちです。しかしその原因がわからない場合、おおよそ問題は肩関節の外にあるのです。

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安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

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