五十肩を徹底解剖する

痛くてもバンザイできるが検査では異常なし…意外な原因

写真はイメージ

 五十肩には、実は「凍結肩」「腱板断裂」「石灰沈着性腱板炎」という、れっきとした名前がある肩の病気が含まれていたと紹介してきました。

 凍結肩は水平までにも肩が上がらないひどい可動制限、腱板断裂はMRIや超音波検査、石灰沈着性腱板炎はレントゲンでと、どれも目で捉えられるので、説明されると案外理解しやすいです。

 その一方、痛みはあるけどバンザイ程度はできてしまう、しかし検査では何も見つからないと言われた肩の痛みを持つ患者さんがたくさんいるのも事実です。原因がわからないから、とりあえず五十肩と診断された人も多いでしょう。

 今回は、原因がつかみにくく、消去法で五十肩と名指しされる肩の痛みについて考えてみます。

 肩関節の主な骨組みは、二の腕の骨である上腕骨と肩甲骨からなります。関節の内部で骨同士をつなぎ、関節機能を主にコントロールするのが靱帯(関節包)と腱板です。この靱帯が傷んだものが凍結肩で、腱板が傷んで切れたものが腱板断裂、または石灰沈着性腱板炎になります。

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安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

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