東洋医学を正しく知って不調改善

東洋医学は赤ちゃんや小児にも有効なのか 日本独自の「小児鍼」とは?

天野陽介氏(提供写真)

 次に漢方でもまた乳幼児や小児に対して効果的な処方があります。

 例えば、冒頭でご紹介した疳の虫など、神経の高ぶりやかんしゃくや夜泣きなどには「抑肝散」が用いられます。また、食欲不振や腹部膨満には「六君子湯」が、そして便秘には「小建中湯」などが用いられます。

 漢方独特の匂いや味を嫌い、服用をためらう子どももいます。そのような時には、幼児ではシャーベットやゼリーなどに混ぜて服用させたり、乳児では水で練った漢方エキス製剤を、口中の上顎に塗りつけた後、すぐに水を与えたりします。乳児の場合、母親が漢方薬を服用して、母乳を通して与える「経母乳投与」といった方法もあります。

 いずれにしても症状や体質によって適切な漢方処方があり、年齢によっても服用量が違うため、必ず医師や薬剤師の診察を受けてください。

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天野陽介

天野陽介

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部客員研究員も務める。日本伝統鍼灸学会、東亜医学協会、全日本鍼灸学会、日本医史学会、日本東洋医学会所属。

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