感染症別 正しいクスリの使い方

【感染性心内膜炎】心臓の弁に感染した細菌を除菌するため抗菌薬を1カ月以上継続投与

写真はイメージ

 以前、感染性心内膜炎だった何人かの患者さんと関わったことがあるのですが、発熱が1カ月以上続いていて経食道心エコーなどを行って疣贅を発見したケースや、血液から細菌が培養されたことがきっかけで発見されたケースなど状況もさまざまです。

 感染性心内膜炎で最も多い原因菌は連鎖球菌ですが、ブドウ球菌や腸球菌、他にもさまざまな細菌が原因になることが知られています。

 いったん弁膜上に細菌が感染すると、除菌することが難しく、高用量の抗菌薬(多くの場合注射薬)を1カ月以上継続投与する処置が一般的です。感染が持続する場合や心不全がコントロールできない場合は、弁の感染箇所を取り除いたり、人工弁に付け替える手術を行う場合もあります。

 長期に及ぶ原因不明の発熱には、思わぬ大病が隠れているかもしれません。ご注意ください。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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