健康の「素朴な疑問」

「死ぬ」とはどういうことなのか 医師は3つの事柄で判定

「死とは何か?」(C)PIXTA

 医学的に人の死は生命の輪を構成する心臓、肺、脳の少なくともひとつの機能が永久に停止した状態だと考えるからです。

 しかし、脳が機能しなくなった脳死体では爪が伸び続け、生理が起きる場合があり、脳死から数週間~数カ月後に出産したケースが30例以上報告されたともいわれています。心臓や肺が動かなくなったとしても、人工心肺や心臓のペースメーカーが開発された現在においては、そのひとつが機能しなくなったからといってそれをもって死と言えないでしょう。

 では、脳機能が停止すれば死んだといえるのでしょうか? 

 2019年に米国の大学医学部の研究チームが食肉処理場で解体された、死後4時間後の豚の脳の一部再生に成功しています。この先、技術が進歩することで「死とは何か?」を定義することはますます難しくなっていきそうです。

(弘邦医院・林雅之院長)

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