東洋医学を正しく知って不調改善

不眠に効く漢方薬はあるのか? 3つのタイプ別に処方される

天野陽介氏(提供写真)

 不眠を大きく3タイプに分けて、漢方処方を紹介しましょう。

 まずは寝付きが悪いタイプ。神経質だったりイライラしたり、心がざわついて落ち着かず眠りに入れないことが多い。イライラしやすい、怒りっぽい場合は抑肝散。ストレスで食欲がなくなるなど消化器症状を伴う場合は抑肝散加陳皮半夏。

 次に眠りが浅い・夜中に目が覚めてしまうタイプ。ストレスなどでイライラしたり、ささいなことも気になって気持ちがふさぎ込んだりしてしまう場合は、柴胡加竜骨牡蛎湯。貧血ぎみで血色が悪く疲れが取れにくい場合は加味帰脾湯です。

 最後に、いわゆる寝るための体力が低下し、早朝などに起きてしまうタイプ。中年期以降で、疲れやすく、手足や腰からの下半身が冷え、夜間のトイレの回数が多い場合は比較的よく知られる八味地黄丸。同じような症状で冷えが軽度な若年層には六味丸などが効果があるでしょう。

 不眠をこじらせないためにも、早い段階で医師・薬剤師に相談し、自分の症状に合った漢方を処方していただきたいと思います。

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天野陽介

天野陽介

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。北里大学東洋医学総合研究所医史学研究部客員研究員も務める。日本伝統鍼灸学会、東亜医学協会、全日本鍼灸学会、日本医史学会、日本東洋医学会所属。

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