皮下脂肪というと悪いイメージを持たれる方が多いと思います。しかし、皮膚の下にある脂肪組織は、体を守るために重要な働きを持っているのです。
サイエンスという一流の科学雑誌に、2015年に興味深い研究結果が報告されて注目を集めました。皮膚が細菌による攻撃を受けると、皮下の脂肪細胞が増殖して、そこから抗菌ペプチドという細菌を撃退する作用を持つ物質が放出されることが、ネズミの実験で確認されたのです。
つまり、脂肪細胞は天然の抗菌剤のようなものをつくっていて、免疫の最前線で重要な働きをしているのです。抗菌ペプチドは細菌ばかりではなく、ウイルスにも効果があり、新型コロナウイルス感染症の重症化予防にも有効である可能性が指摘されています。
この抗菌ペプチドはビタミンDにより増加することも分かっていて、「ビタミンDが免疫を調整する作用を持っているのは、この抗菌ペプチドが関係している」という意見もあります。
医者も知らない医学の新常識