一方、「アルツハイマー型認知症」の患者さんは比較的、日内変動が少ないといわれています。ほか、「脳血管性認知症」は症状のひとつに一時的に感情が高ぶる感情失禁があります。また、理性や感情をコントロールする前頭葉が萎縮することで理性的な行動ができなくなる「前頭側頭型認知症」では、症状のひとつに暴力などの反社会的行動があります。どちらも、急に起こるケースはみられるものの、毎日必ず起こるわけではなく、朝夕で変わるといった性質でもありません。
ですから、レビー小体型認知症以外で日内変動が起こる場合、せん妄が重なっている可能性が高いでしょう。せん妄は、別の病気や薬の影響による意識障害です。認知機能の低下と相まって、一日の間で言動がガラッと変わってしまう患者さんがいます。
日内変動そのものは予防はできませんが、介護者の負担を軽減する対策は可能です。まずは、日内変動に合わせた生活のパターンを把握しておきましょう。レビー小体型認知症の場合、夕方以降に症状が悪化するなど、リズムが決まってきます。患者さんが出歩ける状態であれば、散歩や買い物、近所の人との交流は午前中に済ませ、午後3時以降は休息を取らせて、外出をしないといったスケジュールを組めます。
名医が答える病気と体の悩み