膵がんの5年生存率0%を変える「コンバージョン手術」とは 最新治療に取り組む名医に聞く

早期では自覚症状がない(C)日刊ゲンダイ

「切除不能(手術ができない)の膵がんには、局所進行と遠隔転移があります。膵臓は門脈など生命に関わる重要な血管に接しており、局所進行ではそれらの重要な血管にがんが食い込んでいるため、手術が困難。重要な血管からがんをひきはがし、なんとか切除できても、がんを完全に取り切れなければ再発となる。そこで、抗がん剤でがんを小さくし、さらに放射線をあててがんを局所制御することで、膵がんを血管から安全にはがして切除でき、かつ完全に取り切れるようにする。これが膵がんのコンバージョン手術です」

■手術不能の3割が手術可能になり5年生存率が向上

 藤井教授が最近発表した富山大学付属病院でのコンバージョン手術の成績では、手術ができない局所進行の膵がん144例のうち、3割に該当する48例が手術可能となり、その後の5年生存率が58.6%。

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