コロナ対策を続けても「結核」はなぜ減らない? 新規感染者は毎年1万人超

毎年1万人以上が罹患している(写真はイメージ)

 気になるのは日本の結核患者数は偏在していること。

 都道府県別の人口10万人当たりの結核罹患率は長崎、大阪、徳島、沖縄、愛知の順に高く、山梨、秋田、岩手、長野、福島の順に低くなっている。長崎の結核罹患率は13.5で、最も低い山梨の4.3の3.1倍だ。

「長崎の結核罹患率がなぜ高いかはハッキリしていません。ただ、大阪などの大都市でホームレスが多いエリアでは結核患者が多いことが知られています。健診の機会が乏しく、健康保険を持っていない人が多い。しかも経済的に困窮しており、症状が現れた人を対象とした結核対策だけでは結核問題が解決できないことも事実です」

 日本で結核患者がなかなか減らない理由は他にもある。診断の遅れもそのひとつ。それにより集団感染・院内感染が増加している。

「18年までの10年間に延べ622件の集団感染が起きています。最も多いのは会社などの事業所の31%、次いで医療機関の16%、老人や障害者施設・刑務所の10%、学校10%などです。結核の集団感染は同一の感染源が、2家族以上にまたがり、20人以上に結核を感染させた場合と定義されています。集団感染が増えているということは一般の人だけでなく医療機関で働く人の間でも結核への意識が薄れ、結核の早期発見がしづらくなっていることを示します」

 結核は早期発見・早期治療により治せる病気になっている。

 咳や痰などの症状が2週間以上続く、体重が減った、など結核を疑う症状があるときは、早めに医療機関を受診することだ。

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