健康長寿のカギは腎臓にあり

慢性腎臓病は適度な運動で生命予後が延び、生活の質が上がる

主治医の先生に相談して適度な運動を

 適度な運動を推奨する方向に変わったのは、高齢社会であるということも理由のひとつです。慢性腎臓病の患者さんの身体機能は、健康な人に比べて7割程度になる。ご高齢の腎臓病の患者さんの場合、身体機能の衰えは、サルコペニアやフレイルと呼ばれる虚弱状態になる可能性が高くなります。その結果、寝たきりになることが多くなる現状を踏まえ、予防するためにも「適度な運動を行うように」という指導になりました。

 また、慢性腎臓病と診断されたなら、食事療法を始めなければなりません。ところが自分の判断だけで食事療法を行うと、十分なカロリーを取れてないことが多い。さらに、腎臓病の人はうつ病を発症する人が多いというデータがあります。そこで、それらを包括してサポートする「腎臓リハビリテーション」が生まれました。

 当院では運動面ではリハビリセラピストが握力を測るなどして身体機能を確認し、運動指導を行う。食事面では、管理栄養士が日々の食事を書き留めたものを患者さんに持参してもらい、改善点などの指導を行う。

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森維久郎

森維久郎

三重大学医学部卒業。日本腎臓学会専門医。2020年5月、腎臓内科、糖尿病内科、生活習慣病の診療に特化したクリニックを開院。腎臓について伝える情報サイト「腎臓内科ドットコム(https://jinzonaika.com/)」を監修。

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