Dr.中川 がんサバイバーの知恵

扇千景さんが他界 食道胃接合部がんはピロリ除菌とメタボで増加

扇千景さん(C)日刊ゲンダイ

 ですから治療法がはっきりとは定まっていませんが、たとえば手術と判断されると、胃の上部と食道の下部を切除すれば十分で、胃がんで胃を全摘するほどの大がかりではありません。術式も、食道がんでは、右胸部と頚部、上腹部を開きますが、前述の手術なら開腹のみで、相対的に体の負担が少ない。

 抗がん剤を使うケースでは、扁平上皮がんなら食道がんの治療に準じて5-FUとシスプラチンを、腺がんなら胃がん治療に準じてTS-1とシスプラチンを使います。

 扇さんのご冥福をお祈りします。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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