Dr.中川 がんサバイバーの知恵

“ぴんぴんコロリ”とがんで死にたい 専門医の私も実感している

故・樹木希林さん(C)日刊ゲンダイ

 希林さんは骨折で入院中でしたが、亡くなる3日前に自宅に戻り、「痛みもなく、眠るようにお別れができた」といいます。この言葉が示しているのは、痛みを取る緩和ケアが万全なら、がんの最期は痛みなく安らかだということです。

 俳優の菅原文太さん(享年81)とは、膀胱(ぼうこう)がんの治療で陽子線を勧めたご縁もあり、亡くなる1カ月前に夕食に誘っていただきました。痩せてはいたものの背筋を伸ばして楽しく食事されていた姿が目に浮かびます。

 元プロ野球監督の大沢啓二さんも私が胆のうがん治療を担当。78歳で他界する直前までテレビに出演され、喝を食らわしていました。共演者も、末期がんとは知らなかったそうです。ぴんぴんした状態からコロリと旅立つような「ぴんぴんコロリ」が、理想の死に方とされます。がんとうまくつきあえば、ぴんぴんコロリを実現しやすいのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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