姿勢が“くの字”の「腰曲がり」は治せる、予防できる 年をとっても遅くはない

「腰曲がり」にならないためには予防が大切

 歩行障害も軽視できない。腰が曲がっていると重心が前方に寄り、歩いていると徐々に前のめり姿勢になっていく。そうなると、長時間の歩行が難しく、少し歩くたびに立ち止まって姿勢を正さなければならない。前重心では転倒のリスクも高くなり、歩行の際には杖やシルバーカーが必要になる場合も少なくない。

「治療は、背筋を鍛える運動療法と、腰がさらに曲がるのを防ぐコルセット治療(装具療法)が一般的です。また、骨粗しょう症を併発している患者さんが多いので、骨折を防ぐために骨粗しょう症に対する投薬治療も行います」

 これらの保存療法で効果がみられず、胃食道逆流症がひどい人は手術の適応になる。家事や仕事などの日常生活に大きく支障を来し、本人が手術を希望する場合も実施されるという。

「当院では、年間100人近くが後弯矯正手術を受けています。以前は合併症のリスクが高い70代後半以上の患者さんには手術ができませんでした。しかし、医療技術の進歩や体力がある元気な高齢者が増えたことで、合併症を心配せずに安全に手術が行えるようになりました。手術件数は10年前と比較して2~3倍に増加しています。最近では80代前半で手術を受ける患者さんもいらっしゃいます」

3 / 5 ページ

関連記事