Dr.中川 がんサバイバーの知恵

歌手の杉田あきひろさんは「顎の骨が露出」 がん治療前は口腔ケアが重要

杉田あきひろさん(C)日刊ゲンダイ

「口が大きく開かなくて右顎に激痛が走ってて」

 こんな投稿が話題を呼んでいるのは、歌手の杉田あきひろさん(58)です。NHK「おかあさんといっしょ」の元うたのおにいさんで、ステージ3の喉頭がんを克服すべく闘病生活を送る中、今月18日、抗がん剤治療の副作用を吐露しました。その続きに驚かれるかもしれません。

「『親知らずかな』と思ってたら……歯茎から1センチ四方くらいの薄い骨が出てきて抜けたんです!」

 抗がん剤の副作用として脱毛や嘔吐、食欲不振などは皆さんもご存じでしょう。実は、顎骨壊死(がっこつえし)もそのひとつで、この投稿はそれによると思われます。

 全国がん登録罹患データによると、2019年に喉頭がんと診断されたのは5111人。15万人を超える大腸がんや12万人超の胃がんなどに比べると少ないものの、顎骨壊死が増えています。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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