患者に聞け

糖尿病(2)1日20キロのウオーキングを開始「何をやってきたんだ、との恥ずかしさがあった」

1日20キロのウォーキングで…

「朝は周りの風景が見えて人通りもあるので気を張っていられましたが、夜道はいくら歩いても自宅にたどり着けない、そんな錯覚に陥りました」

 春先とはいえ、長距離のウオーキングでは汗をかく。臭いを気にして消臭剤と着替えをカバンの中に持ち歩き、トイレで着替えたりしたが、電車内での視線が気になったという。

「水分補給として空のペットボトルに水道水を入れて鞄に忍ばせました。水筒だとかさばって重くなるからです」

 糖尿病は怖い病気だ。しかし、受診して薬を飲めば血糖値はすぐに下げることができる。60代のAさんがなぜそんなにつらい思いをしてまで自力で血糖値を下げようと考えたのか?

「さまざまな理由で糖尿病になる方がおられるでしょうが、私の場合は明らかに自身の不摂生が原因。田舎から出てきて何をやってきたんだ、という恥ずかしいという思いがあり、摂生するだけして血糖値を下げて、どうしても下がらないレベルになれば薬に頼ろうと考えたのです」 (つづく)

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