3つ目の「交絡因子」であるが、これは医療の効果を評価する際の最大のバイアスと言ってもいいものである。
マスクの効果の研究を例に言えば、マスクをつけている人の平均年齢が70歳で、つけていない人が50歳であれば、当然前者でコロナ重症者が多く発生するリスクが高く、マスクの効果を過小評価する方向に結果をゆがめる。この際、後者で重症者が少ないという結果は、マスクの効果というより、年齢が交絡したためにゆがめられているというわけである。
この交絡因子は、ただマスクをしている人、していない人を比べるだけでは避けることができない。さらには、この交絡因子を意図的に利用すれば、マスクに効果なしという結果も、効果ありという結果もどちらも容易に生み出せる。事実そうした研究は多くある。
■バイアスを避けた研究は難しい
医療だけでは幸せになれない