がんと向き合い生きていく

検査入院の夜、突然、天井のスピーカーからコール音が響いた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 スリッパは不可で、紐のない室内用の履物を用意してきました。パジャマに着替え、ロッカーに上着やズボンなどをしまいました。床頭台にはテレビが付いていて、鍵のかかる引き出しがあります。

 しばらくして、看護長さんが挨拶に来られ、その後、担当の看護師さんが来ました。体調を聞かれ、血圧、脈、体温を測定し、採血をしていかれました。それから、入院時の心電図と胸部X線写真を撮るため、それぞれの検査室に向かいます。心電図検査は外来患者と一緒だったため結構長く待たされ、「ガウンを着てくればよかった」と思いました。それでも、午前中には終わりました。 昼食は、麦ごはん、魚、おひたし、吸い物、そしてお茶です。

■担当医がなかなか来ない

 午後は、担当医が来るのを待ちます。きっと、先ほどの採血検査などの結果を見てから、明日の検査の説明に来るのだと思っていました。しかし、担当医は忙しく働かれているのでしょうか、なかなか来ません。ベッドに横になってひたすら待ちます。看護師さんは両鼠径部の毛を剃りにきました。手首からの検査予定でも、いざとなった時に鼠径部の血管を使って処置をするかもしれないことからの準備です。

2 / 4 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事