がんと向き合い生きていく

コーヒーとがんの関係…抗がん剤の効果を高めるとの研究も

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 毎朝のコーヒーは、「今日も一日生きる」と思わせてくれる、私にとってまさに“スタート”になっています。睡眠中はあれやこれや夢を見ることが多いのですが、それから朝が来ます。熱いコーヒーはひとつの幸せです。私は牛乳を少し入れますが、妻はブラックのままで2~3杯、毎朝のルーティンです。

 以前は、紙のフィルターにコーヒーの粉を入れ、熱湯をドリップしていましたが、今は小さなカートリッジを、水の入った機械にセットしてボタンを押すと出来上がるものを飲んでいます。

 駅まで向かう道の途中にコーヒー専門店があります。そこでは、店の前を通るだけでかぐわしい匂いがします。たくさんの種類のコーヒー豆があって、それぞれひき方や入れ方があるのだと思います。閉店の日は通り道が匂わないので、なんだか寂しい気がします。

 以前、コーヒーは膵臓がんのリスクになるといわれたことがありました。たいした根拠もないのに、一日に何杯も飲む人には「膵臓がんになるぞ」と話す人もいました。 ちょうどその頃、隣に住んでいたKさんが自宅に誘ってくれ、よくコーヒー豆をミルで砕いて飲ませてくれました。ところがある日、Kさんは某大学病院で膵臓がんと診断され、それから数カ月後にアッという間に亡くなってしまいました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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