がんと向き合い生きていく

検査入院の夜、突然、天井のスピーカーからコール音が響いた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 しばらくすると、担当医が病室にやって来て、明日の検査の予定について簡単な説明がありました。さらに、左手首の動脈が触れるのを確認し、マジックでそこに印をつけました。

 夕方4時半ごろになって夜勤の看護師さんが挨拶に来られました。聞くと、明日の朝8時まで勤務するとのこと。大変だなあと思いました。夕方遅くなって3人の医師が来て、こう言われました。

「明日の検査は一番に行います。朝8時半からです。造影だけで終わる予定ですが、血管を広げることなどが必要なら、行います。特別なことがなければ、そのまま終わります。結果は直後に、また、他の方の検査が終わってから午後に説明にあがります」

 私は「最初ですか。よかったです。まだかまだかと待っているより、よかったです。よろしくお願いいたします」と答えました。

 夕食が終わり、「がんの患者の検査入院でも不安になるのは同じかな」と思いながら、9時に眠剤をもらって飲みました。うとうとしていたら、突然、天井から「△コール、××階、○科病棟」と大きな音で放送がありました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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