がんと向き合い生きていく

チャットGPTの医療への応用は慎重にも慎重であって欲しい

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 対話型AI(人工知能)「チャットGPT」が、ここのところ急に話題になっています。ある知人の話では、たとえば大臣の国会答弁をまずチャットGPTに書かせ、それを担当者が書き直すことで、国会答弁前夜の作業がスムーズに進むといいます。しかし、どう考えても、大臣の答弁がチャットGPTが作ったものだとは思いたくない気もするのです。

 便利だからといって、自分で考えて自分で文章を作るのではなく、先にチャットGPTに書かせ、それを読んで自分の文章として作っていく……本当にそれでよいのだろうか? これからそんな時代になってくるのだろうか?

 子供の教育では、AIを使って先に答えを聞いてしまうと、自分で考えることが少なくなるのではないか? 想像力を損なうのではないだろうか? これは私の余計な心配なのかもしれません。

 文科省は、チャットGPTを「夏休みの課題では使用しないように」とのガイドラインを通知したといいます。生成AIが作ったものを“成果”として提出することは適切ではないとして、十分指導するように促しているというのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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