松木先生は授業中にだんだん感極まってくると、歌い出します。
「時計の針の絶え間なく、めぐるがごとく励みなば、……いかなるわざがならざらん……」
そしてよく話す、口癖のような言葉があります。
「実践です。プラグマティズムです」
まさに熱血先生です。
■受験票を神棚に積んで合格祈願
この怖い怖い授業なのに、ある時、授業が始まる前、生徒が教室の入り口の引き戸の上にチョークまみれの黒板消しを挟みました。先生が引き戸を開けて入ると、黒板消しが先生の頭に落ちてくる仕掛けです。固唾をのんで見守っていると、黒板消しは頭に落ちず、松木先生の目の前に落ちました。その瞬間、松木先生は黒板消しを足で蹴り、先生用の椅子も蹴り飛ばしてから授業が始まりました。
がんと向き合い生きていく