山形東高校の同窓会がある時は、この名物教頭だった松木先生が必ず話題になります。高校受験の合格発表があってすぐ、入学前に全員が高校に呼び出され、皆に英語の小冊子が渡されました。50ページほどの、確か「ロビンソン・クルーソー」だったと思います。
松木先生は、怖い顔で「この本を読んでくるように。入学式の翌週にこの中から試験を行います」と告げました。入学式までの日々がもったいないと言われるのです。受験から解放され、遊びたかった私は愕然として帰宅しました。
入学式が終わって、松木先生の英語の授業が始まりました。
「口が回らないではないか!」
「大切な文は書き残すから、黒板に書いたものをノートに書き写すのは休み時間にしろ」
今であれば、生徒から訴えられかねないような怒声が隣の教室まで響きます。怖くて、数日、学校を休んだ生徒もいたようでした。松木先生の授業で、その直前の休み時間から緊張したのは、私だけではなかったはずです。
がんと向き合い生きていく