がんと向き合い生きていく

暑い夏になると高校時代の熱血先生を思い出す やかんを手に巡回

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 暑い暑い日が続いています。そんな夏の日の思い出話です。

 高校3年生の夏休み、私は毎日、自転車で学校に通いました。到着する頃は汗びっしょりです。

 学校では、窓を開けて風通しのよい廊下に机が1列に並べてあります。そこに座って、数時間、勉強をしました。家にクーラーなどない時代で、自宅でひとりの勉強では、だらだらしてしまうからです。また、周りに同じく受験生がいると、励みになって、我慢して勉強ができました。

 それ以上に、やる気を出させてくれたのが、英語担当の松木清先生です。先生は氷水の入ったやかんを持って巡回し、コップに水を入れて「飲め!」と言って、渡してくれるのです。冷たい氷水と、先生がそばにくることでシャキッとします。そして「分からないことがあったら聞け」と言ってくれました。

 暑い夏になると、この時の先生が思い出されるのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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