東洋医学を正しく知って不調改善

日常の中にも“東洋医学の知恵”…陰陽論や五行論の考え方が浸透

陰陽論や五行論は東洋医学の根底となる考え方(C)日刊ゲンダイ

 例えば「味」は五味と呼び、酸、苦、甘、辛、鹹(塩味)が対応。それぞれの味の過不足が健康に影響すると考えます。

 情緒が乱れているときは酸味と関係が深く、柑橘類を食べると気の巡りを助け、苦みは「火」に属し熱を冷ます効果があるため、夏にゴーヤーなどの苦みのあるものを食べるのは昔からの知恵といえるでしょう。

 また年4回訪れる土用の丑の「土用」は、季節の変わり目のため体調を崩しやすいため「土」に属す甘み(高カロリー)の摂取で乗り切るのが良いとされています。

 さらに辛みは「金」に属し、人体では肺に関与します。風邪をひいた時に辛みのある生姜を用いるのもこの五行論に基づいた処方です。

 そして最後の塩味は「水」に属しますが、年齢を重ねると「水」の気が不足してくると考えるため、塩味に属する海産物を食べて補うと良いとされています。

 このように陰陽論も五行論もバランスを最も重視します。取り過ぎてはいけません。何事もほどほどにというのが古来の一番の知恵なのかもしれません。

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中村幹佑

中村幹佑

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸学科専任教員。はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師。

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