老親・家族 在宅での看取り方

箱根を旅行中の93歳中国人男性…体調急変で保健所から往診依頼が入った

外国人旅行者の患者も増えている(C)日刊ゲンダイ

 それはこの春のこと。保健所から往診依頼の連絡がありました。日本に住む子供たちに会うため来日、箱根を旅行していた93歳の中国人男性です。

 前日に突然発熱、そして呼吸困難となり、小田原の病院へ救急搬送。診断の結果、肺炎を起こしていることがわかりました。一緒に旅行していた息子さんの自宅が市ケ谷にあるということで、ご本人と息子さんの強い希望もあり、小田原から息子さん宅へ民間救急車で移動することになりました。その道中、血圧が低下し、広尾の日赤医療センターに緊急搬送。敗血症、虚血性心疾患、脱水という診断で、数日の看取りになると言われました。

 しかし金銭的な理由もあり入院せず、看取りならば最期は自宅でみんなで見守りたいと、日赤医療センターから比較的近くに住んでいた娘さん宅へ民間救急車で移動。

 娘さん宅に着いたのは朝の5時半でしたが、酸素飽和度(SAT)が低下したため、娘さんが慌てて救急車を呼びました。しかし病院に搬送されるともう家に戻って来られないかもしれないと、救急隊にその場での酸素投与を依頼。私たちの診療所へ連絡が来たのが午後2時過ぎでした。30分ほどで駆けつけました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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