「ハイパーサーミア療法」はがん治療の開始とともにスタートすべき…脳神経外科医が提言

周りの血管を拡張し血流を増やす

 むろん、他の治療法と同じで副作用がまったくない、というわけではない。皮下脂肪が過度に加熱されると硬結と痛みが生じることがある。しかし、それも1~2週間で消失し、後遺症も残らないという。

「最近は治療器の性能が上がっており、当院では現時点でそうした患者さんはおられません。また、この治療法が素晴らしいのは直接がん細胞を攻撃する、殺細胞効果があるということだけではありません。がん細胞を温め、周りの血管を拡張し、血流を増やすことで、抗がん剤のがん細胞への取り込みを増やし、放射線の増感作用を強化し、正常細胞が本来持っているがん細胞への攻撃力(NK細胞、細胞傷害性T細胞、樹状細胞など)を増やし、強化できることにあるのです」

 実際、併用することで抗がん剤、放射線治療の上乗せ効果が認められている。それによって抗がん剤の量や放射線治療の線量を減らし、副作用に苦しむ患者の負担を減らすことができているという。

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