これまで爪白癬で行われていた検査はまず、真菌培養法。感度が低く、結果が出るまで週単位で時間がかかる。次に、KOH直接鏡検法。感度は高いが、顕微鏡などの器材が必要。
「経験と技術も求められる。白癬菌がいるところから検体を採取せねばならず、これが難しい。顕微鏡の手技にコツが必要で、顕微鏡初見で白癬菌かどうかを見極める能力も不可欠。顕微鏡はあっても、KOH直接鏡検法を行わない医師もいる」
爪白癬の診断を厳格にしなくてはならないのには、理由がある。
「足の指や足裏などにできる水虫(足白癬)は、市販の塗り薬がたくさんあり、それらでも治せます。しかし、爪白癬は医療用塗り薬があるものの、効果は高くはなく、効果が見えてくるまで何カ月もかかり、挫折する患者さんがかなりいる。塗り薬で治る人は十数%程度でしょう。確実に治すには医療用経口薬が不可欠。その処方のために爪白癬かどうかを正しく診断しなくてはならない」