前立腺肥大症の最新手術「WAVE治療」は負担が小さく合併症も少ない

写真はイメージ

■性機能の温存もできる

 さらに従来法の場合、射精しても精子が体外ではなく膀胱内に逆流する「逆行性射精」などの性機能障害も注意すべき合併症に挙げられている。WAVE手術は、手術時の尿道粘膜のダメージが最小限であるため術後に逆行性射精が起こる可能性が極めて低く、従来の手術法と比較して性機能の温存にもメリットがあるとされている。

「WAVE治療によくみられる合併症は、一時的なものがほとんどです。術後に血尿や尿閉、尿路感染が見られるケースがまれにありますが、個人差はあるものの早期に改善することが多い。このような低侵襲な手術でありながら、海外のデータでは再手術率も術後5年で4.4%と報告されていて、従来手術と比較しても決して高くありません」

 現段階での適応は、薬物療法で効果がなく前立腺の体積が30~80ミリリットルで、全身状態が不良で手術合併症のリスクが高い症例、高齢や認知機能障害で術後せん妄のリスクが高い症例、術中出血のリスクが高い症例といった既存の手術が難しい人のみが対象といった制限が設けられている。

「若年層、持病やリスクのない患者さんへの適応は、WAVE治療の安全性や有効性、長期の治療成績が確認され、日本泌尿器科学会が定める適正使用指針の適用制限が外れてからになりますね」

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