医師から、認知症進行の予防対策として、いろいろなアドバイスを受けた。そのひとつが料理教室だった。週に1回足を運び、仲間と会話を楽しみ、包丁を握った。
自宅の近所には広い山下公園がある。週に何回か、ゆっくりと自転車を走らせ、うっすらと汗をかくくらいのサイクリングも始めた。
また就寝前、一日の出来事を記録する日記をつけ、忘れた漢字はひらがなで書くのではなく、面倒でも辞書を開く習慣を身に付けた。
認知症予備群と診断されて3年。藤原さんは、「認知症は防ぎようがありません。進行を少しでも抑える努力をしていますが、家族には迷惑をかけたくない。トイレの場所が分からなくなるほど症状が進行したら、施設に入れてほしいと妻に伝えておきました」と言う。
横顔には最後はひとりで生きていく覚悟が見て取れた。(この項おわり)
患者に聞け