世界初の「歯磨き剤」は何が違う? 23年間の研究の末に開発した歯科医師に聞いた

歯周病の初期は自覚症状がない

 歯周病といえば45歳以上の日本人の半数近くが罹患する感染症だ。歯周病菌が主に歯と歯肉の間の溝から侵入して炎症を起こし、進行すると、歯がぐらついたり、抜け落ちたりする。最近の研究では、動脈硬化や狭心症、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを上げ、糖尿病や誤嚥性肺炎などにも深く関係することがわかっている。そんな歯周病を予防する歯磨き剤を歯科医師が23年間かけて研究・開発し、発売にこぎつけたという。どんな歯磨き剤なのか? 開発者である歯科医師で「八重洲歯科クリニック」(東京・京橋)の木村陽介院長に話を聞いた。

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「歯周病とは、歯根と歯肉の溝に侵入した細菌が歯肉に炎症を起こしたり、歯を支える組織を破壊する病気です。歯と歯肉の溝を歯周ポケットといい、4ミリを超えると歯周病と診断されます。歯磨きが不十分だと口腔内に常在する数百種類の細菌とカンジダ菌などの真菌の相互作用により粘着力のある強力な歯垢(バイオフィルム)や歯石を歯周ポケット内に形成、そこから毒素が産生されることにより、歯肉に炎症が起きて、歯を支える歯槽骨などが退縮して歯が抜け落ちていくのです」

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