役に立つオモシロ医学論文

手術を受けるなら男性外科医?女性外科医? 結果に違いあり スウェーデンの研究チームが報告

写真はイメージ(C)iStock

 男性医師と女性医師では診療行為に若干の違いを認めることが知られています。たとえば女性医師は、男性医師と比べて標準的な指針である診療ガイドラインに沿った治療を行う頻度が高く、患者を中心としたコミュニケーションを積極的に行う傾向が報告されています。

 一方で、外科的な治療における医師の性別と治療成績の関連性については質の高い研究データが限られていました。そんな中、男性の外科医と女性の外科医で手術の結果に違いを認めるかどうかを検討した研究論文が、米国医師会が発行している外科の専門誌に2023年8月30日付で掲載されました。

 スウェーデンで行われたこの研究では、胆のう炎などで胆のうの摘出手術を受けた15万509人が解析対象となりました。このうち3万7847人が女性外科医の手術を受け、11万2662人が男性外科医の手術を受けました。なお、胆のうとは食べ物の消化を助ける胆汁酸という物質を貯蔵する臓器です。炎症を起こすと胆のう炎を発症し、重症の場合には手術によって胆のうを摘出します。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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