東洋医学を正しく知って不調改善

鍼灸で生活習慣病の対策はできるのか…慢性炎症を抑制する?

(C)日刊ゲンダイ

「再検査です。医療機関を受診してください」

 定期健診結果にこんな一文を見つけ、気を重くするミドルエージの方は少なくないでしょう。

 かつて成人病といわれていた動脈硬化や糖尿病が生活習慣病と呼ばれるようになって約30年になります。

 30年間で研究が進み、生活習慣病の基盤となる病態が徐々に解明されてきました。明らかになってきたのは、慢性炎症が関係している生活習慣病が少なくないこと。

 ケガをするとキズが赤く腫れて熱をもって痛む--。古代ローマ時代の医者、ケルスス(BC30~AD39)は、炎症についてこのように書き残しました。

 炎症には2種類あり、ケガが治ると同時に消えていくものを「急性炎症」、症状は弱いが長年にわたり継続するものを「慢性炎症」と呼んでいます。

 この炎症が小さいながらも起こると、体を防御するマクロファージやリンパ球という細胞が体内で増え、活発に働き始めます。実際に慢性炎症の患者さんを検査すると、体内でこれらの細胞が常に盛んに働いていることが分かります。

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稲垣元

稲垣元

日本医学柔整鍼灸専門学校鍼灸師、修士(鍼灸学)、日本医学柔整鍼灸専門学校専任教員、全日本鍼灸学会会員。

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