全身の状態が衰えている患者さんの回復期リハビリでは、まず「座る」「立つ」「歩く」「コミュニケートする」が極めて重要で、リハビリの第一歩になると前回お話ししました。それらと同じく、自分の口から「食べる」ことをできるようにするのもとても大切です。
ねりま健育会病院には、重度の嚥下障害や長く寝たきりを続けられるなどで食事はチューブで栄養を送る「経鼻経管栄養」という状態で入院される患者さんも少なくありません。そうした患者さんが来院されたとき、私はまず口の中を目で見て確認します。口の中がどれくらい汚れているか、唾液があふれているかどうかなどを診るのです。
たとえば、長く自分の口から食事をしていない状況で、口の中に唾液があふれていないとなると、唾液はどこかに流れているはずです。われわれの口腔内では1日に約1.5リットルの唾液が分泌されています。その分の唾液がどこに流れていったのかを考えます。実は、口に唾液がたまってない患者さんは唾液をのみ込めているのです。
正解のリハビリ、最善の介護