役に立つオモシロ医学論文

コロナ感染は脳の構造変化も引き起こす? 後遺症とも関連か

新型コロナ感染は脳の構造に変化をもたらす

 被験者は、MRI(磁気共鳴画像)と呼ばれる装置による脳の画像検査を受け、オミクロン変異株に感染する前と後で、脳の構造が比較されました。

 その結果、オミクロン変異株に感染する前と比べて、感染した後では、左側の「楔前部」(大脳の内側面にあるしわの盛り上がった場所)と呼ばれる部位が2.6~2.7ミリ、右側の後頭部が2.7~2.8ミリ、いずれも統計学的にも有意に減少していました。また、発熱があった人では、発熱がなかった人に比べて、右側頭頂部の脳のしわの溝の深さが3.9~4.8ミリ、統計学的にも有意に減少していました。

 論文著者らは、「オミクロン変異株が認知機能や情動に与える影響について、そのメカニズムを考えるうえで新たな視点を提供する知見」と結論しています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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