日本版「足病医」が足のトラブル解決

なぜ、いまの日本で足の専門医が求められているのでしょうか?

(提供写真)

 患者さんも、足の痛みやむくみの症状で受診しようと思っても、足病科がないので何科を受診すればいいか分からず、病院を転々としているうちに病気が進行しているケースが少なくありません。

 とりわけ早期発見が求められるのが「糖尿病性足病変」です。糖尿病の合併症である神経障害が進行すると感覚が弱くなって痛みを感じにくくなり、足にトラブルがあっても気付かずに放置してしまう。さらに血流障害も合併していると、酸素や栄養が足全体に行き渡らず潰瘍や、進行すると足が腐る壊疽に至り、足の切断を余儀なくされてしまうのです。

 切断を防ぐには早期発見、早期治療だけでなく、そもそも発症させないといった予防的な医療がより多くの患者さんを救えると考え、2019年に大学病院で国内初となる「足の疾患センター」を当院に設立しました。

 整形外科、形成外科をはじめ、血管外科や皮膚科、循環器内科や糖尿病内科などさまざまな領域の専門医・装具士などの多業種が集結し、足の症状から分かる神経内科の疾患や血液病、膠原病など、幅広い疾患の診断を行っています。

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田中里佳

田中里佳

2002年東海大学医学部卒業、04年同大学形成外科入局、06年米国ニューヨーク大学形成外科学教室留学、12年順天堂大学医学部形成外科学講座准教授、医局長を経て現職を務める。

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