高齢者の正しいクスリとの付き合い方

多くの避難所で「クスリがなくなる…どうしたらいいのか」と質問を受けた

道路も被害を受け、病院や薬局が再開されていたとしてもそこに行けない(石川県珠洲市)/(C)日刊ゲンダイ

 2024年1月1日16時10分、石川県能登地方でマグニチュード7.6の大きな地震が発生し、広い範囲で甚大な被害が生じました。能登地方に比べると軽微でしたが、私の居住地でも強い揺れの影響がありました。

 今回を執筆する直前まで、私は災害支援として能登地方に5日間行ってきました。直接目で見た能登地方の状況は、報道されているそれよりもずっと深刻に感じられました。私にとって4回目となる災害派遣でしたが、今回の能登半島地震は道路への被害も甚大だったことがもともとの交通アクセスの悪さに拍車をかけており、それが復興へのひとつの大きな障害になっていると思いました。まずは、被災された多くの方が一日でも早く元の生活に戻れることを心から祈念するとともに、そのために私にできることがあれば今後も尽力していく所存です。

 さて、私の病院のチームは避難所を回ったのですが、そのほとんどすべてのところで聞かれたのが、「もうすぐ年末に処方してもらったクスリがなくなるけど、どうしたらいいのか」という話でした。高齢の避難者の中には、疾患のために継続的にクスリを服用・使用している方が非常に多くいらっしゃいます。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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