Dr.中川 がんサバイバーの知恵

森永卓郎さんが報告した「原発不明がん」…組織検査が手掛かりになる可能性

経済アナリストの森永卓郎さん(C)日刊ゲンダイ

 原発不明がんという言葉をご存じでしょうか。独協大教授で経済アナリストの森永卓郎さん(66)は昨年、ステージ4の膵臓がんであることを公表しましたが、最近のラジオ番組でこれについて語ったことが話題を呼んでいます。

「私、膵臓がんステージ4ということになってたんですが、きょうのお医者さんが『どうも違うんじゃないか』と。結論は原発不明がん。どこから出ているか分からないという」

 がんが最初にできた場所を原発巣といい、転移してできた病巣を転移巣といいます。原発不明がんとは、転移巣が先に見つかってがんであることが診断されたにもかかわらず、原発巣が確認できない状態です。

 たとえば、ある臓器にできたがんはさまざまな検査で分からないほど小さいうちに転移して、その転移巣が原発巣より大きくなったケースが考えられます。まれに転移後に原発巣が小さくなったり消えたりすることもあります。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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