Dr.中川 がんサバイバーの知恵

森永卓郎さんが報告した「原発不明がん」…組織検査が手掛かりになる可能性

経済アナリストの森永卓郎さん(C)日刊ゲンダイ

 ただし、残念ながら遺伝子検査を受けても、うまく治療に結びつくとは限りません。遺伝子検査は標準治療がない、あるいは標準治療が終わった人が対象で、毎年約100万人いるがん患者の1%です。さらに検査の結果、適当な薬剤が見つかるのは10%ですから、全体の0.1%に限られます。

 森永さんは、その後のラジオ番組でオプジーボで治療されていることを報告しています。オプジーボは、原発不明がんにも適応がある免疫チェックポイント阻害剤です。現在、さまざまな遺伝子変異をターゲットとした薬剤の研究開発が世界的に進められていますから、厄介ながんの治療も今後、進むことが期待されます。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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