一生見える目をつくる

近視の子供が増加…外遊びで太陽光を浴びると進行予防になる

近視の多くは学童期に発症

 文科省が昨年11月に公表した2022年度の学校保健統計調査によると、裸眼視力1.0未満の割合は、小中高いずれの段階でも過去最多。小学生では37.8%、中学生では61.2%、高校生は71.5%でした。

 また、東京都内の小中学校に限っての近視の有病率では、小学生で76.5%、中学生で94.9%という報告もあります(慶応大眼科教室近視研究チームの2019年の発表)。

 近視の子供は今後も増えていくことでしょう。なぜなら、授業の中でタブレットやパソコンを使用することが当たり前となり、さらには長時間スマホを使用しているお子さんも多い。デジタルデバイスが増えていることが、近視を増加させていることは間違いありません。

 とはいえ、子供の近視が増加しているのは、すべてがデジタルの進歩のせいだけではないと私は考えています。戦後からずっと近視は増えており、その理由は生活習慣やスタイルの変化が大きい。たとえば昭和の頃を振り返ると、子供は小学校から帰るとランドセルを放り出してすぐに外に遊びに出かけるというのが当たり前の過ごし方でした。実は最近の研究で、外遊びで太陽光を浴びると近視の進行予防になることがわかってきました。

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荒井宏幸

荒井宏幸

クイーンズ・アイ・クリニック院長。医学博士・眼科専門医。医療法人社団ライト理事長。みなとみらいアイクリニック主任執刀医。防衛医科大学校非常勤講師。

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