日本の母子手帳の交付率はほぼ100%だが、若年の妊婦の中には妊娠に気づいていなかったり、出産の決意が定まらない時間が過ぎて妊娠中の梅毒検査を受けなかったケースもある。
怖いのは妊娠初期に感染した梅毒の場合、母親は治せても一定の割合の胎児は先天梅毒を発症してしまう可能性があること。また、胎児に感染すると約40%が流産、早産、子宮内胎児死亡を起こし、約40%の新生児が先天梅毒を発症するといわれている。
先天梅毒の新生児は誕生後に亡くなるリスクが高く、生き延びても生後数カ月以内で聴覚障害、リンパ節腫脹、骨軟骨炎などを発症する。
万一でも、わが子が梅毒に感染すれば、そのカップルに亀裂が入るのは間違いなく、離婚に至ってもおかしくない。では、妊婦の梅毒感染を防ぐにはどうしたらいいのか?
「まず、お互い浮気をしないことが最も大切です。また、子供をつくろうと考えているカップルは妊活を始める前に必ず2人で性感染症の検査を受けましょう。妊活する前の性交では必ずコンドームを着用しましょう。梅毒はコンドームで100%回避できるわけではありませんが、ある程度の予防にはなります」(尾上泰彦院長)(つづく)
梅毒急増の「なぜ」