疲労の謎がここまで分かった

疲労の謎がここまで分かった(1)疲労の程度は唾液で測定できる…ヘルペスウイルスの数でわかる

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 これに対し、少々休んだくらいでは回復しない疲労は病的疲労と呼ばれます。病的疲労の代表的なものが、慢性疲労症候群、うつ病、そして新型コロナ後遺症です。風邪をひいた時に感じる疲労のようなものは「病的疲労」には含まれません。普通の風邪であれば短期間で回復するからです。

 では、私たちが仕事などで疲れているとき、その疲労の度合いがどれほどなのか、正しく測定するにはどうしたらいいのでしょうか。実は、疲労の度合いは、唾液中のヘルペスウイルスの数でわかります。

 われわれは、ヒトに感染するヘルペスウイルスの中で6番目に発見された「ヒトヘルペスウイルス6」(HHV-6)に注目しました。HHV-6は、ほぼすべての赤ちゃんが幼児期に親やきょうだいを経由して感染し、突発性発疹という病気を引き起こすウイルスです。その後、ほぼ100%の人の体内で一生涯、潜伏感染をつづけます。

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近藤一博

近藤一博

大阪大医学部卒。近著「疲労とはなにか」(講談社)

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