ヒトの体内に潜伏している、このHHV-6は、「残業がしばらくつづいた」といった中程度の疲労によって「再活性化」し、唾液中に放出されます。実際、デスクワーカーの勤務、運動選手の練習といった労働や訓練をした人の疲労の度合いを調べた結果、それらによる疲労が、唾液中のHHV-6の量で測定できることがわかりました。
なぜ、疲労するとHHV-6は活性化されるのでしょうか。もし、潜伏している宿主が死んでしまうと、HHV-6も道連れになってしまいます。そこでHHV-6は、宿主が死ぬ前に再活性化して、元気な宿主(多くは新生児)に乗り換えようとします。HHV-6は、宿主の疲労を感じ取っているということです。
ただし、この方法で測定できるのは「生理的疲労」と呼ばれる疲労だけなのです。慢性疲労症候群など「病的疲労」患者にはHHV-6の再活性化が見られません。
なぜ、「病的疲労」の場合、HHV-6が再活性化しないのか。そもそも「生理的疲労」と「病的疲労」は、メカニズムがどう違うのか。次回、解説しましょう。 (つづく)
疲労の謎がここまで分かった