役に立つオモシロ医学論文

殿様枕症候群…12センチ以上と高い枕の人は脳卒中になりやすい

写真はイメージ

 脳卒中の発症リスクは、加齢に伴い増加することが知られています。一方で、若年から中年の人でも脳卒中を発症することがあります。特に、椎骨動脈解離という病気を発症すると、脳卒中を起こしやすいことが知られています。

 椎骨動脈解離とは、首の後ろを通る血管の膜がはがれてしまう病気のことです。

 椎骨動脈解離の原因については、遺伝や生活環境との関連性が指摘されているものの、詳しいことは分かっていませんでした。ただし、欧米人と比べると東洋人で発症が多い傾向にあり、生活習慣などの文化的な違いに原因があるのではないかと考えられてきました。

 そんな中、枕の高さと椎骨動脈解離の関連性を検討した研究論文が、欧州脳卒中機構が発行している学術誌の電子版に、2024年1月29日付で掲載されました。

 日本で行われたこの研究では、国立循環器病研究センターで椎骨動脈解離と診断された53人と、同時期に入院したものの椎骨動脈解離と診断されていない53人が対象となりました(年齢の中央値は49歳)。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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