白髪を科学する(1)50代で「なし」は珍しい

出田立郎氏(C)日刊ゲンダイ
鍵を握るメラノサイトサイクル

「そもそも髪の毛は、頭皮の中の毛根の一番下に位置する毛球にある毛母細胞が、司令塔である毛乳頭組織の指示により分裂・増殖して角化したもの。メラノサイトは毛母細胞の周囲に多く存在し、そこで盛んにメラニン色素を量産して毛髪に与えています」

 基本的に、メラノサイトサイクルは毛髪が伸びていくヘアサイクルと同調してメラニンの量や活性を増減している。そのサイクルが加齢などの原因でずれが生じると、メラノサイトを生み出す幹細胞からの供給がされなくなり、毛髪が色素なしで成長して白髪になる。

「脱毛がおこらない場合は加齢により最終的に白髪になりますが、脱毛してしまえば白髪か黒髪かはわからない。なので、俗に『白髪は薄毛にならない』と言われているのです。」 (つづく)

▽出田立郎(いでた・りつろう)資生堂美容技術専門学校非常勤講師、日本臨床毛髪学会監事、日本色素細胞学会評議員、日本毛髪科学協会役員。東京大学大学院卒(理学博士)。1988年資生堂入社。リサーチセンター(研究所)で主に薄毛、白髪についての研究開発に携わる。2019年同社を退社。現在に至る。

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